「乾しいたけ、こう食す」-香坂みゆき(タレント)

 

乾しいたけというと祖母の料理「乾しいたけと高野豆腐の煮もの」を思い出します。祖母は東京に住んでいましたが、出身が信州の人。濃いめの味でしっかり煮含められた乾しいたけは、ひとかじりでご飯3杯いけちゃうくらいでした。祖母ほどではありませんが、私も含め煮を作るときは、砂糖としょうゆを多めに加え、味にパンチが出るように濃いめにします。中途半端な味つけにすると、乾しいたけのよさがなくなってしまう気がするんです。

 

乾しいたけは洋風のお料理にだって使います。

私、かなり頻繁に乾しいたけを使います。食事の支度に時間がなくても、水につけて砂糖を少し加え、電子レンジにかけてもどします。でもやっぱり、時間をかけてゆっくりもどしたときのほうが、おいしいし、いいだしが出ますよね。
和風の料理だけじゃなく、洋風の料理にも使います。とくに煮こみハンバーグはおすすめです。もどして薄切りにした乾しいたけと刻んだベーコンを炒めて、トマトの水煮、そして乾しいたけのもどし汁を加え、味が薄いようなら、トマトピューレーやケチャップ、ちょっぴりの砂糖を加えてトロミをつけます。そこへ小さめに作って焼いたハンバーグを入れて煮こむ。これだけで味に深みが出るんです。乾しいたけは細かく刻んで、ひき内に混ぜてもいいんですよ。

 

幼いうちに本物のおいしさに出会えば、食べ継がれるものだと思います。

子どものころ、学校から帰ると嫌々だったんですが、母の手伝いをしていました。お米をといだり、さやえんどうの筋をとったり・・・多分、そんなときに母が乾しいたけを使うのを何気なく見ていたんじゃないでしょうか。中学生でデビューして、早くから親元を離れ、母に料理を教わる機会はほとんどありませんでしたが、自炊していたころから乾しいたけはあたり前のように使っていました。
今、食育などといわれていますが、乾しいたけのような日本伝統の食材は、幼いときからおいしさ、使い方を知っているといいんでしょうね。私が乾しいたけを使うのも、おいしさはもちろんのこと祖母、そして母が料理に使うところを幼いころに見ていたからだと思います。
本物のおいしさを知ったら、どんなに高くてもお金を出して料理に使いますよ。同じきのこのイタリア産ポルチーニだってそうでしょう?ただ、若い人はおいしい乾しいたけを味わう機会、料理に使うところを見る機会が少ないですよね。それが残念。日本にこれだけおいしいものがあることに気づけばいつまでも食べ継がれると思います。

 

おあじはいかが「乾しいたけ、こう食す」より